Archive for October 2006

09 October

リリー・フランキーの人生相談


週間プレイボーイに連載中の「リリー・フランキーの人生相談」。
今週号に載ってた相談が、なんか気になったので書きます。

相談者はF男さん(28歳)グラフィックデザイナーなのですが、
この方、現在勤めている会社を辞めてフリーになろうかと、
リリーさんに相談を持ちかけています。
辞めたい理由は、やりたいデザインが出来ないとのこと。

リリーさんはこの業界に詳しいせいか、的確な返答をしてますね。
この企画もそのせいかな。

自分も28歳でフリー(独立し会社設立)になった経験者。
リリーさんの意見に反論じゃないけど、自分の考えを述べますね。
「同じ会社に一生勤めようと思っているデザイナーは一人もいない」という
リリーさんの意見は間違ってはないとは思うが、
逆に辞めずにしがみついてるデザイナーがいるのも事実。
なぜならグラフィックデザインと一口で言っても、なかなかデザインの幅が広く、
いろんなデザイン(媒体)が存在してるからだと思うんです。
だからか、最初に入った会社のやり方(仕事の進め方)が変に染みついてしまう。
だから辞めにくくもなるし、マンネリ化して辞めたくもなる。

前者の人って、自分のやってきたデザインがビジネスと結びつかない人か、
人脈とお金がない人なんでしょうね。
それか、ホントに今の会社勤めが合ってる人とか、なんとなく居るって人も。
会社勤めの人を否定するつもりもありませんがね。
それどころか、この世の中じゃ会社勤めも有りだと思いますよ。

F男さんは後者の方なんだと思うけど、だとするとリリーさんの言うとおり、
一日も早くフリーになるべきだね。

自分の経験上でも言えるが、なぜか30歳過ぎたあたりから儲かります。
自分の後輩達も同じ経験をしています。(全員とは言えないが)
多分、[20代の経験]と[クライアントとの信頼感]、また[多少の諦め]が備わるせいですね。
[20代の経験]とは純粋に仕事内容の把握。
[クライアントとの信頼感]とは「裏切らない」と「たまに飲んだりする」。
「裏切らない」は、特に納品時間や、いちいち説明がいらない…など。
「たまに飲んだりする」は、接待+仕事以外の友好関係と、仕事の失敗を慰めあえるなど。
[多少の諦め]とは、やりたかったデザインが思うように出来なく、
その言い訳が「儲かりゃいいや」って言えるようになること。
それらが揃うと、満足感はなくても儲かりはします。
儲かると自分がやってきたことが間違いないと納得できるし、生活はなんとかなる。

しかし40歳を過ぎるとそうも行かなくなる。
圧倒的にパワーが無くなるし、デザイン自体に興味が無くなるような気がする。
もともと将来性や社会性のない仕事なだけに、不安にもなるし。

どんな形でフリーになろうと気をつけなきゃならないのが、
現状のデザイン業界は価格も安くなってるし、その割に拘束時間は増えてる。
クライアント自体が夜型になり連絡が遅い。その割に納品は早い。
またラフ提出がメールで出来たり、印刷屋も24時間体制だったりで、
終わるのが深夜は当たり前。40歳は乗り切れても、50歳は無理!
国は公務員や銀行マンみたいに、俺達を助けてくれないしね。

つまりフリーになるには、早いうちに行動し、40歳までに儲けるだけ儲けて、
残りの人生は会社経営か、違う仕事に移行するがベストということかな?
それか、30歳手前の独立したいF男さんみたいに考えている人材を集め
フリーの集団でやってく。
それで家賃をもらい食ってく(機材も皆で使えるしね)というのはどうかな?

なんだか不安になるような話ばっかで申し訳ないけど、これが現状ですよ。

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07 October

起死回生のプリンター購入


今度、会社のプリンターを買い替えることになりました。
以前の複合機(PIXEL)では仕事に支障が出て来たからです。
替えるのは、キャノンの「ImagePRESS」という複合機なのですが、
なかなかの優れもんで、カラーコピー・モノクロコピー・両出力にFAX付き。
用紙も通常から厚手まで、アート紙やコート紙まで出せるし、
用紙のサイズもノビサイズより大きめといった、
DTP作業に目一杯対応した機器です。

カラーマッチングも優れているし、これで会社の仕事もやりやすくなるかな?
当然投資金額も半端じゃないんだから、良くなってもらわないとね。

前にも話したけど、いろんな機器が随分進化したよね。
うちの会社がMacを初導入したのが、14年前。
当時最初に購入したのが「Power Macintosh 8100/80」というマシン。



今考えると遅いし、すぐフリーズ起こすし、OSも(当時KT7.1)使いがって悪いし、
実画像なんか貼って、仕事してたらマシンが動かないことだってあったぐらい。
よくこんなマシンで仕事してたよね。(Appleさんゴメンなさい)

DTP関連のアプリケーションも、今からじゃ考えられないくらい少機能。
QuarkXPressはバージョン1で、Adobe Illustrator4.0、Photoshopも3.0なんて時代。
出来ることも機能も少なかったね。
けど当時はMac使って、ラフ制作や版下を作ってた時代だったから、
こんな機能で充分だったのかもしれないけど。
それより、世のデザイン事務所がまだまだ手作業で制作していた時代、
アプリケーションの使い手がいなく、だれにも相談できないし、
教本とかもほとんど皆無。
自力でなんとか操作方法を覚えてくような状態でしたね。

それが今じゃマシンは速いし、ハードディスクもテラの時代。
入稿用のメディアも当時はMO230か良くてJAZZ。
最悪はフロッピーを何枚かに分けて入稿なんてこともあったね。
当時のMOなんて、230MB保存するのに30分もかかる時代でしたよ。
今じゃ普通にDVD-RだCD-Rだ、最近じゃサーバにアップで届けいらず。
ほんといい時代だね。

でも、最近よく思うことがある。
機器類は良くなったのに肝心のデザイナーはどうよって。
なんかデザイナーって言うより、オペレーターって言ったほうがいいのでは?
あまりに便利になりすぎたせいで、デザインの質が落ちたような気がする。
いろんな広告見ても、どっかの真似が多いし、
どっかで見たことある写真(素材フォト?)ばっかだし。ラクしてんね〜と思う。
だから撮影とか減るし、価格も安くなってるのは不況だけのせいじゃないね。

書体の使い方もワンパターンで良くないしね。
写植時代には写研の文字に飽きて、モリサワの書体求め外注したぐらい。
(今じゃモリサワオンリー状況)
細かいこというと文字組・行間はバラバラ、誤字脱字はあたりまえ。
箱組なんて聞いたことないんじゃないのって思う。
なんかプロ意識がないよね。教える人が悪いのかな?

たしかに若い社員に聞くと、最近のデザイン系専門学校では、
Macの操作とアプリケーションの使い方をメインで教えてるらしい。
それじゃパソコンオペレータの養成じゃない。
もっと人間的な造形心理学とか色彩学とかを、教えることが出来ないのかね?
自分の時代の学校では教えてくれたけど。
(当時はこんな授業いるのかな?って思ってたが)
特に文章の組み方は、読む人の気持ちにならなきゃ絶対無理。英語も日本語もね。

自分の考えが古いのかもしれないけど、
写植・版下時代からデザインやってる人間て、やっぱ仕事が丁寧というか、
きちんとしてるような気がする。
少なくとも、作品を「見られてる」的感覚があるような気がする。
だから恥ずかしい仕事(作品)は世に出せない。
うちの社員には、そういう考えを持ちながら仕事するように言ってます。

その一環として、会社のみんなで印刷会社を見学してきました。
文祥堂という印刷会社でもう16年の付合いになります。
昔から製版技術は抜群で、印刷もぴか一にきれいで我社自慢の印刷会社です。
見学してみて分かったことだが、印刷技術も随分変化し、
水なし印刷や大豆インクなど、エコや技術の進化にびっくり。
印刷のコンピュータ化はデザイン業界よりは必要だし、うまく使ってるね。
特に自動製版機とか輪転機の進歩はすごいね。
デザイナーなら一度は印刷技術の見学をするべき!

新しいプリンターや詳しい新印刷技術については、後日詳しく報告しますね。

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